「健康のために運動をしましょう」「健康寿命を伸ばしましょう」──
そんな言葉を耳にすることは多いけれど、ある日ふと、こう思ったんです。
「健康の価値って、もしお金に換算したら、いくらくらいなんだろう?」
たとえば、口内炎がひとつできるだけで、食事の時間が一気につまらなくなる。
足首をちょっと捻っただけで、仕事にも遊びにも支障が出る。
わずかな体調不良が、日々の生活の質(QOL)を大きく左右することに気づかされます。
健康であること。それはあまりにも当たり前で、ふだんは意識しません。
でも、ひとたび失えば──私たちの人生は、驚くほど不自由になります。
つまり、「健康」とは、実はものすごい資産なのかもしれません。
では、その価値を“お金”で表すとしたら、いったいどれくらいになるのでしょうか?
第1章|健康1年の価値は「500万円」──QALYで見える“目に見えない資産”
この疑問に対して、最も明確なヒントをくれるのが、**QALY(質調整生存年)**という考え方です。
QALYとは、「1年間、完全な健康状態で過ごす価値」を「1」として、
そこから健康の質が低下すれば数値も下がるという医療経済指標です。
-
軽い慢性疾患 → 0.7QALY
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うつ状態や寝たきり → 0.3QALY
この「QALY」を使って、健康1年の価値を金額換算しているのが、イギリスや日本の研究機関です。
🇬🇧 イギリス:NICEの試算
英国NICE(国立医療技術評価機構)は、1QALYを
**約2万〜3万ポンド(約380〜570万円)**と試算。
これをもとに、医療行為や新薬の「費用対効果」が評価されます。
つまり、健康な1年の価値=およそ500万円前後。
この金額を超える治療は、保険適用外と判断されることもあるほど、基準として機能している数字です。
🇯🇵 日本:500万〜600万円とされるQALY評価
日本でも厚生労働省や国立保健医療科学院がQALYの導入を進めており、
同様に1QALY=約500〜600万円と試算されています。
つまり私たちは、健康な1年ごとに“500万円相当の価値”を生きていると言えるのです。
第2章|健康の損失は、個人だけでなく「国の損失」でもある
健康は、私たち個人の生活だけでなく、国全体の経済活動にも深く関わっています。
📉 OECDの試算:GDPの15%が失われている
OECD(経済協力開発機構)の報告によれば、
健康格差による経済損失は、GDPの15%にも達すると指摘されています。
背景には──
といった、“働けない”または“効率が落ちる”状態が社会全体に及ぼす影響があります。
💪 WHOの分析:健康投資は驚異のリターン率
世界保健機関(WHO)は、
健康への1ドルの投資が、4ドル以上の経済的リターンを生むと報告しています。
予防医療、禁煙対策、運動促進などへの支出は、
医療費削減や生産性向上につながり、国家レベルの“投資効率”を押し上げるのです。
第3章|“健康=年収760万円分の幸せ”という事実
健康は、「医療費の節約」や「働けるかどうか」だけの話ではありません。
幸福度にとっても、圧倒的に重要な要素なのです。
💡 イギリスの研究:健康=年収+760万円相当
イギリスの幸福学者 デインズ&フランクリン(2010)は、
「軽い健康問題を抱える人が“完全に健康”になると、
年収約4万ポンド(約760万円)相当の幸福感が得られる」と分析しています。
つまり、健康回復=高年収を上回る幸せということ。
🇯🇵 慶應義塾大学の調査:年収2倍より「健康な実感」のほうが幸福感が高い
日本の研究でも同様の傾向が出ています。
「自分は健康だ」と自己評価している人は、
実際に年収が2倍ある人と同等の幸福度を感じている
幸福とは、収入の額よりも「心身が整っていること」のほうが強く影響する。
そんな現実が、数字でも裏付けられています。
第4章|健康を損なうと、どれだけの“お金”が失われるのか?
健康を失ったとき、実際にはどんな損が発生するのでしょうか?
各種データを元に、おおよその金額を算出すると──
損失項目 | 年間の目安 |
---|---|
医療費・通院費 | 約10〜100万円 |
休職・離職による収入減 | 約50〜600万円 |
通院や制限による時間損失(時給換算) | 約15〜60万円 |
幸福度の低下(主観的換算) | 最大760万円相当 |
つまり、健康を損なうだけで“数百万単位”の損失が出るということ。
🧠 結論|健康は「目に見えない富」である
私たちは、健康なときこそ、その価値に気づきません。
でも、ちょっと不調になるだけで、お金・時間・自由・幸福感が一気に削られていきます。
健康であることは、人生を豊かにするための「土台」であり、
実際にお金で表してみると、数百万〜数千万円規模の資産価値があることがわかります。
💡「健康」は、最高の投資先であり、最大のリターンをもたらす“無形の富”です。
運動、睡眠、食事、セルフケア──
それらを「今すぐ始める理由」は、すでにそろっているのかもしれません
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